CBR250RR(MC51)は、250ccクラス屈指の高回転型エンジンと鋭いレスポンスを誇るスーパースポーツです。そのダイレクトなパワーを路面に伝える「ドライブチェーン」は、もっとも過酷な環境で働くパーツの一つです。
特にMC51はエンジンの吹け上がりが鋭いため、チェーンのコンディションが悪いと、加速時のギクシャク感や不快なノイズ、さらにはパワーロスに直結します。
愛車の「キレ」を維持するための、具体的かつ実践的なチェーンメンテナンス術を解説します。
1. メンテナンスの頻度とタイミング
チェーンメンテナンスは「汚れが目立ってから」では遅すぎます。以下のタイミングを一つの目安にしましょう。
- 走行500kmごと: 定期的な清掃と注油。
- 雨天走行後: 雨水はルブを洗い流し、砂を付着させ、すぐに錆を発生させます。
- 洗車後: 水分を飛ばした後の注油は必須です。
2. 用意するもの:これだけは揃えたい「三種の神器」
MC51のシールチェーン(Oリングが入ったチェーン)を傷めないための専用品を選びましょう。
- チェーンクリーナー: シール(ゴム)を攻撃しない「シールチェーン対応」のもの。
- チェーンルブ: 飛び散りにくい低粘度タイプや、汚れが目立ちにくいホワイトタイプなど、好みに合わせて。
- チェーンブラシ&ウエス: 三面ブラシがあると作業効率が劇的に上がります。
- メンテナンススタンド(推奨): 後輪を浮かせると作業の正確性とスピードが数倍変わります。
3. 実践!チェーンメンテナンスの5ステップ
ステップ1:準備と安全確認
- エンジンは必ず停止させる: 「エンジンをかけて1速に入れ、タイヤを回しながら清掃」は絶対にNGです。 指を巻き込まれると切断などの重大事故に繋がります。必ず手でタイヤを回してください。
- メンテナンススタンドで後輪を浮かせるか、スタンドがない場合はバイクを少しずつ動かしながら作業します。
ステップ2:清掃(汚れを浮かせて落とす)
- チェーンクリーナーをチェーン全体に吹き付けます。
- ブラシを使って、プレートの隙間やローラーの汚れを優しくこすり落とします。
- ポイント: Oリングを傷めないよう、ワイヤーブラシなどの硬すぎるものは避けましょう。
ステップ3:拭き取り(ここが一番重要!)
- クリーナーで浮かせた汚れと水分を、ウエス(布)で完全に拭き取ります。
- クリーナーが残ったまま注油すると、せっかくのルブが溶けてすぐに飛び散ってしまいます。 汚れを「拭い去る」意識で作業してください。
ステップ4:注油(ピンポイントで狙う)
- チェーンの内側(タイヤ側)から、左右のプレートの継ぎ目(Oリング部分)と、中央のローラー部分を狙って吹き付けます。
- ポイント: 外側に吹き付けても遠心力で飛ぶだけです。「内側から外側へ浸透させる」イメージで1周させます。
ステップ5:余分な油の拭き取り
- 注油後、タイヤを数回手で回して馴染ませたら、プレート表面に残った余分なオイルを軽くウエスで拭き取ります。
- これにより、走行中のホイールへの飛び散りを最小限に抑えられます。
4. 同時にチェックしたい「チェーンの張り」
MC51の適正なチェーンの「遊び」は、スイングアーム下側の中央付近で測ります。
- MC51適正値:25.0 〜 35.0 mm(※型式:8BK-MC51 / 年式:2023では43.0~48.0mmに設定されています。ホンダのページはこちら)
- 測定方法: 指でチェーンを上下に押し引きし、その振れ幅を確認します。
- 張りすぎのリスク: サスペンションが動かなくなり、最悪の場合チェーンが切れたりエンジン側のベアリングを破損します。
- 緩すぎのリスク: 走行中にチェーンが外れたり、スイングアームを削ったりします。
5. プロの視点:MC51をより美しく保つコツ
MC51はリア周りのデザインが非常にスッキリしているため、チェーンの汚れや飛び散ったルブが目立ちやすいバイクです。
裏技:注油は「走る直前」ではなく「走り終わった直後」に! 走行直後はチェーンが熱を持っており、オイルが隙間に浸透しやすい状態です。また、一晩置くことでオイルが定着し、翌日の走行でホイールが汚れにくくなります。※状態によっては飛散しやすいという注意もありますので、熱すぎない状態まで冷ましてください。
まとめ:メンテナンスは愛車との対話
チェーンを綺麗に保つことは、単なる掃除ではありません。作業中に「一箇所だけ動きが悪いリンクがある(固着)」「錆が出始めている」といった異変に気づくことが、大きなトラブルを防ぐことにつながります。
ピカピカのチェーンで、CBR250RR本来のダイレクトな加速感を楽しんでください。
